私が大学を卒業し、北海道を去る時、「あ〜、これで大好きな北海道とお別れかぁ」と、とても悲しかったのですが、
唯一、ホッとしたことがありました。それは、「もう雪道を運転しなくていいんだ」ということでした。それほど
雪道の運転は嫌いでした。
そして、今年(2012年12月)、そんな嫌いな雪道の運転を十数年ぶりにしてきました。ということで、これから北海道の
雪道を運転しようという方に、何か参考になればと思い、思いつくまま雪道の運転にかかわることを書いてみました。
レンタカー選び
今回は、雪の美瑛の写真が撮りたくて、1日だけ車を借りることにしました。札幌駅近くにはいくつかのレンタカー会社が
ありますが、営業時間がなるべく長く、安いところを探した結果、オリックスレンタカーで借りることにしました。
他のレンタカー会社の冬季の営業時間は、だいたい9:00〜18:00ですが、オリックスレンタカーは8:00〜19:00と、約2時間
長く借りられます。札幌駅近くに、いくつか営業所があるようですが、私が借りようと思っていたヴィッツクラスの車が
置いてあるところが、北9条西3丁目の営業所でしたので、営業開始時間の8時に合わせて、その店へ行きました。
料金は、ヴィッツクラスの車を1日借りて4,600円でした(免責保障料込み)。ただ、この保障だけでは、事故のケースによって
かなりの金額を負担することになるというので、追加で525円の保障を付けました。やはり雪道は何があるかわかりません
からね。525円なら安いものです。
車は、レンタカー会社の都合で、1クラスグレードの高い日産ティーダになりました。もちろん、4WD車です。私が学生の
ときにはFF車に乗っていました。FFはFRに比べればマシですが、やはり4WD車のほうが安定性が高いでしょう。FR車は夏には
ビューンとカッコよく走る車が多いですが、冬にはお尻をフリフリ悪戦苦闘している姿を昔よく見ました。
いざ運転!
久しぶりの雪道の運転、しかも慣れていないレンタカーでの運転に、少し肩に力が入りましたが、少しずつコツを思い出し
てきます。自転車と同じで、一度、体が覚えたことは十数年経っても忘れていないんですね。 まずは、交通量の少ない
ところで、少し強めにブレーキを踏んでみて、ギュッとグリップが効くことを確かめ一安心。さすがに、レンタカーだけあって
スタッドレスタイヤはそんなに古いものではなさそうです。では、いざ出発!と、その前に、自らの経験も踏まえた
雪道の運転の注意点をいくつか紹介しておきます。
スピードを出し過ぎない
雪道じゃなくてもそうですが。雪道はなおさらです。しかし!北海道の人は雪道でもスピードを出します。
高速道路では100km/hぐらい普通に出しますし、国道や道道でも、70〜80km/hで走る人が多いです。
それにつられてスピードを出してはいけません!北海道の人が雪道に慣れているとはいっても、スリップして
制御不能になれば、慣れていようがいまいが、そんなことは関係なく事故につながります。私が北海道にいる頃、
少し遠出をすると、必ずと言っていいほど事故現場を目撃しましたが、それは十数年経った今も変わらず、今回の
運転中に4回、事故を目撃しました。2回は前の車に追突、1回はカーブを曲がり切れずに雪山に激突(自力で
動けず警察を呼んでいました)、そして1回は横転していました(どうしてそこまでハデに事故ったのか不明ですが)。
地元の人でも、この通りですので、雪道に慣れていない人ならなおさらスピードは出さないように気をつけましょう。
轍(わだち)に沿って走る
大きな道は頻繁に除雪されているため轍が出来ていないことが多いですが、少しわき道にそれると、轍が
出来ていることが多いです。それに沿って走っていれば、電車みたいなものでわりと安全ですが、少し轍から
タイヤが外れると、ピョーンと、その轍からはじき出されて車が斜めに向いてしまうことがあります。
私も、もし対向車が来ていたら大事故になっていたと肝を冷やした経験が何度かあります。
歩行者用の信号をよく見る
信号の手前は、車が停止と発進を繰り返し、よりツルツルで滑り易くなっています。ですので、信号が黄色に
なってからブレーキをかけても止まれず、そのまま前の車に追突したり、赤信号の交差点につっこんで行って
しまう危険があります。運転することを職業としているタクシーでも、信号手前で停止できずに前の車に追突
したのを見たことがありますし、私自身も信号が黄色になっているのを見て、慌ててエンジンブレーキをかけたら
スリップしたまま交差点を通過してしまったことがありました(フットブレーキじゃなくて、エンジン
ブレーキなのに、スリップしちゃうこともあるんです!)。それを防ぐためには、早めに速度を落とせばよく、
そのためには、横断歩道の青信号が点滅しているかどうかを常に意識しておくとよいです。横断歩道の青信号が
点滅したら減速をはじめ、信号手前ではかなり速度を落とした状態で止まれるようにしましょう。
路面の状態をよく見る
私も昔、制御不能になり、雪山につっこんだことがあります。その時はそれほどスピードを出していなかったので
なぜ制御不能になったかわからなかったのですが、後でよくよく思い出してみると、路面の片側だけアスファルトが
露出していて、もう片側がアイスバーンの状態で、少しハンドルを切った状態でアクセルを踏んだ時に、片側の
タイヤだけにトルクが発生して回転運動してしまったのかなぁ?という気がしています。本当の理由は未だによく
わかりませんが、それ以来、路面の状態が左右で違うような時には、「アクセルもブレーキも踏まず惰行運転」で
「ハンドルも切らない」ことを心がけています。
路面の凍結状態は、アイスバーン(写真)と呼ばれ、見るからにツルツルの状態が多いですが、一見すると
アスファルトのように見えるブラックバーンと呼ばれる薄い氷の膜がはった状態もあるので注意が必要です。
大泉洋さんも、ブラックバーンのカーブで制御不能になり、そのまま「優雅に滑って」壁にぶつかり、エアバッグが
出た体験をテレビで話していました。特に路面の状態が変わり易いところは、橋の手前やトンネルの手前で、
こういったところでは、注意が必要です。昔、私と友人がそれぞれ車を出してスキーに行った帰り、
私が先行しトンネルに入り、バックミラーで後ろからついてくる友人の車を見ていたら、ヘッドライトが
とんでもない方向を向いた後、視界から消えたので、ビックリして車をUターンさせて、トンネルの手前に戻ると、
友人の車が反対車線のガードレールにつきささっていたということがありました。今では、その時一緒にスキーに
行った友人達と会うと、「あの時はビックリしたよなぁ」と笑い話になっていますが、ガードレールの下は崖に
なっていたので、もしガードレールが無かったら大惨事になっていたところでした。というように、本当に
橋やトンネルの入口・出口は危険なのです。
長時間駐車するときも注意!
友達とナイターのスキーに行った時のこと。スキーを終え、さぁ家に帰ろうと、車のサイドブレーキを
戻そうとしけど動かない・・・。サイドブレーキが凍ってしまったんですね。仕方がないので、エンジンを
かけ、車があたたまり、凍りついたサイドブレーキが動くようになるまで、ただただ待つというハメに
なったことがありました。また、ある時は、2時間ほど駐車しただけなのに、とんでもない量の雪が車に
積もって、なんとか雪を落としたはいいけど、自分が落とした雪のせいでスタックしてしまい
そこから抜け出すのに苦労したことがあります。というように、北海道では、思いもよらないようなことが
起こるので、長時間駐車する時には、人の助けが借りられるような場所を選んだほうが良いです。
だいたい思いつくのは上記の通りです。あとは下り坂ではエンジンブレーキを使うとか、カーブを曲がる時は
その手前で十分に減速し、カーブの途中では出来るだけブレーキを踏まないとか、急ブレーキや急発進や
急ハンドルなど「急」がつくことはやらないなど、雪道以外でも基本となる運転を心がけることが大切です。
というように、雪道の運転は、とても集中力が必要で、すごく疲れるので嫌いです。
こんなことを書くと、読んでいる人はとても不安になるかもしれませんが、普通に運転していれば、まず
大丈夫です。なぜ事故を起こすかというと、北海道の人は雪道でもスピードを出すからであって、スピードを
出さなければ、当然、リスクも少なくなります。私も今回、地元の人につられて、ついついスピードを出して
しまいましたが、どんなにあおられてもスピードを出さない強い意志を持っていれば、まずは安全だと思います。
道路の除雪状態
今年(2012年12月)は、雪が例年になく多いそうで、私が運転した日も、札幌付近は晴れていましたが、旭川に
近付くにつれ、雪がじゃんじゃか降ってきて、美瑛まであと20kmというところで、「こりゃ、美瑛に行っても
何も見えないなぁ」と、引き返すことにしました。
往きは高速道路も使いましたが、帰りは時間が余ってしまったので、旭川から札幌までずっと下道で戻りましたが、
そういう雪の状態であっても、国道などの大きな道路はもちろん、道道でも頻繁に除雪車が除雪しているため、
アイスバーンではあっても、深雪ということは無く、スタックしてしまうという心配はありませんでした。
ただ、橋の上や周りが畑の中を走る時には、30mほど前の車が見えなくなるほどのすごい地吹雪が吹いていました。
このような時には止まると後ろの車に追突される危険もありますので、どうすればよいか判断が難しいところ
ですが、とにかくライトを点灯して自分の存在を知らせることと、速度を落とすことが大切です。
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